「名字帯刀」の話
こんにちは。
突然ですが、「刀」ってどう読むか知ってます?(さすがにナメすぎ)
「かたな」「トウ」。終わりっ! 閉廷っ!
そうです。これだけしかないんです。画数も少ない上に読み方も簡単。小学生の味方。それが刀。
さて。僕が自他ともに認める苗字オタクであることはそれなりに有名ですが、今回は「名字帯刀」の話をします。刀剣女子必見……ではない。イケメンは全く出てきません。すまんな。
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僕が高校生の時だったと思いますが、いつものように名簿を手に入れて眺めていると、「刀上」という苗字を見つけました。読み方わかります?(いつものように名簿を手に入れて眺めている、の部分へのツッコミは受け付けません)
答えは「たちがみ」。他の読みもあるようですが、少なくとも僕が見たのは「たちがみ」。さて、ここでふと思ったのですが、「上」が「がみ」の部分を担っていることは疑いようがありません。だとすると、「刀」が「たち」を担ってない? 「たち」なら「太刀」じゃない? 「太」くんは? 刀くん何か知らない? 仲間割れしたん?
つまり、ここにおいて、「刀」が「太刀」を表していると考えていいでしょう。まあ太刀も刀の一種ですけれども、「花」で「さくら」と読む例にはまだ遭遇したことがありませんし、珍しい転訛の例でしょう。
で。
この前また面白い苗字を見つけました。「帯刀」。
いろんな読み方があるようですが、その中に「おびなた」というのがあります。
……いや、待てよ。
「帯」が「おび」を担ってるのは自明。なら、「刀」は「なた」を担ってないか?
……「刀」が「太刀」を指すのはわからんでもないけど、「鉈」を指すのはもはやズレてないか? 大丈夫か? 「花」って書いて「ピーマン」って読むようなもんじゃん、ちょっと違う。まずいズレてるってことの喩えがズレて地獄絵図だ
この例から、鉈が刀であることは証明されたも同然。だからどうした。
苗字において、音が変わることや漢字がぬるりと変化することは珍しくありません。「流鏑馬」はふつうの名詞ではこの漢字ですが、苗字では「鏑流馬」です。書き間違いか勘違いかは知らねえ。
しかし、この例のような「意味上のつながりを基点にズレている」苗字は初めて見ました。それはそれとして、「刀上」って苗字、滅茶苦茶かっこいいですね。
というわけで「名字帯刀(みょうじおびなた)」の話でした。