3年前に創想話に載せた東方SSを再掲します

「セカンド・ハンド・スモーキング・ガールズ」


 天高く馬肥ゆる秋。 秋晴れという言葉はあれど、夏晴れとか春晴れとか冬晴れなんて言葉は聞いたことがない。外を見れば、どうやら晴れているらしい。空気が乾燥していると、空は高く見えるだとか、なんとか。香霖堂の店主さんがそんなことを言っていた記憶があるけれども、今日も今日とて私は家の中。ひきこもりとまでは行かないけれども、そこそこ出不精であるのは自覚している。どこぞの白黒のようにあちこちを飛び回るのは、それを馬鹿だとか非効率的だとか言うつもりもないしそれはそれで楽しいのだろうとは思うが、私にはそのような積極的な行動力はない。
 というか、そもそも外に出てもやることがないし。
 人里で布を買うか人形劇するか。
 ゲリラ人形劇なんて誰が見るんだ。
 鳥獣伎楽じゃああるまいし。
 よってどんよりとした空気の中で、私はゆっくりと紅茶を啜り優雅な昼下がりを過ごす、予定だったのだけれど。 
「紅葉しない森なんて何の価値があるわけ?」
 と、ご立腹のネイチャーモンスターが対面の椅子に座ってクッキーを頬張っている。その様からは大妖怪のオーラは微塵も感じられないのだが、弱い妖精やら妖怪やらをいたぶっている時だけはそれっぽく見えてしまうのが残念である。ああ、そういえば幽香って強かったなあ、とか、そういうことを思い出さなきゃ忘れるくらいに、普段はまあまあ腑抜けていて、今なんかは完全にその状態であった。
「こんなところの木々が紅葉したところで誰も見ないもの」
「私と貴女は見てるじゃない」
「じゃあカーテンを閉めるわね」
「よけい陰気臭くなるわよ」
 ちょっと待て。今私の家を陰気臭いと申したか。その陰気臭い家に足しげく通っておいて何を言うか。
「そもそも神の怠慢でしょ? ちょっと一発カマしてやろうかしら」
「やめて」
 とまあ、彼女は自然であるとか植物であるとか、そういったものに並々ならぬ執着を持っている。私はそれほどそういったものを愛でていないので、彼女の話はかなり新鮮に聞こえる。
「そういえば秋だものね……こういうところに居ると忘れてしまうわ。私も植物を植えたり生けたりしてみようかしら」
 私がふとそんなことを呟いてみると、幽香は目を輝かせて私の方に乗り出した。近い近い。自分の土俵に他人が上がってきたのがそんなに嬉しいか。私は貴女が人形の話をする時はどんな悪用を思いついたのだろうかと冷や汗をかいたものだが。
 ちなみにその時はぬいぐるみを作ってやったら喜んだ覚えがある。
 子供か。
「あら? 興味を示していらっしゃる? 何を植える? 秋に種を蒔く花だとヤグルマギクだとかデイジーだとかがぱっと思いつくわね、何にするかしら? いくらでも助言するわよ?」
「サボテンとか」
「四季を愛でる気が微塵も感じられねえ!」
 思わず口調が変わるくらい激昂しながら、ばんっと大きな音を立てて机を叩く幽香。クッキーが跳ね、紅茶の水面が音を立てた。流石は幽香、そこに秘められた力は尋常なものではない。ただ、それ、うちの机だから。他人の家の家具を堂々と叩いてんじゃねえよ。
「けれどアリス、今植えても花が咲くのは来年以降よ?」
「それもそうね、面倒になってきたわ」
心が折れるのが早いわ、もっと私に喋る機会を与えなさいよ」
 植物についての話をどうしてもしたいらしい。気持ちはわかる、自分のテリトリーの話題になると饒舌になるというのは。
 友達がいない者のあるあるネタだ。
 ブーメランを投げる人形遣い
「私の能力で種を植えた瞬間に発芽させて花を咲かせることも可能と言えば可能だけれど」
「それなら造花作るわ」
「でしょうね」
 そこまで言うと、幽香はクッキーの最後の一枚を手に取った。結構な枚数焼いてたんだけどな。幽香が来ると私の取り分がなくなる。天高く幽香肥ゆる秋。それはちょっと嫌だなあ。
「なんなら、うちの花をいくつか譲りましょうか? いつもお菓子と紅茶を御馳走になってる御礼はしないとね。私に出来ることなら喜んで協力するわよ」
「それはいいわね。貴女の庭ならどんな花でも選り取りみどりでしょう? 例えばそうね、金烏帽子、マミラリア、エキノプシス……」
「それ全部サボテンでしょうが!」

 太陽の畑が見える。空気が乾燥しているのはあまり好きではない。暑い寒いには感覚が疎くても、肌の乾燥には敏感なのである。あんまり外に出たくない大きな理由の一つだ。
 魔女の弱点其の一、肌が弱い。
 一応金髪碧眼の西洋美少女として売っている私としては、日焼けも非常に避けておきたいところである。秋とはいえ、油断をするとわりとやられるから気を付けたい。
幽香、貴女いつも傘を持ち歩いているけれど、肌弱いの?」
 日光にアレルギー反応を起こす人間もいると聞く。妖怪にアレルギーなんてものがあるのかはわからないけれども。
「いや、これは鈍器ね」
「鈍器」
「でも棍棒釘バットを持ち歩くのってあからさますぎるでしょう?」
「ファッショナブル鈍器」
 思った以上に彼女らしいアクセサリーであった。そういうことを言うから怖がられて友達ができないのだ、とは、多分彼女もわかっているであろうから、言わなかった。
 損になるとわかった上でやらなければならないこともある。
 主に格好をつけるために。
「ここよ、私の家……来たこと、あったかしら?」
「無かったような気がするわ」
 目の前にあったのは小さな家で、どちらかといえばその建物よりも本来付属品であるはずの庭のほうが広く、より強い存在感を放っているように見える。
 普通の植物も多いのだけれど、なんか私の辞書に基づく植物の範疇にないものも群生してる。
 なにあれダンシングフラワー?
「さて、庭から採ってもいいけれど、初心者なら中で育ててるやつの方がオススメね」
 たぶん経験とかそういう問題じゃない。
「入りましょうか」
 そう言って私を先導する幽香
 ドアにもなんかの蔦がついてる。
 うわ、玄関からもう植物の温床だ。なにあれ、姿見に枝が絡み付いてて見えないじゃん。もはや使い物になってないじゃん。どういう心境でこれここに置いてんの。
「ねえ幽香、この姿見、機能してなくない?」
「可愛いでしょう?」
「え、あ、そ、そうね」
 わかんない。私そのセンスわかんない。これで確認できる私の姿は枝に絡まってる時の私でしかないんだけど。
 どういうシチュエーションなのそれ。
「ほら、ここが居間」
「……あら、意外と植物少ないのね」
「住みにくいじゃないそんなの」
 いや、なんかもう感性が独特すぎるでしょ。心の中のツッコミが止まらないので一つ深呼吸。そして周りを見渡してみる。台所もわりと整頓された普通のもので、テーブル、椅子、箪笥、簡単な本棚……全体的に木造で統一された、本当に普通の部屋だ。なんか拍子抜けである。
 しかし、それにしても、だ。ひとつ、今、気付いたことがある。
「ねえ、じゃあ、この花みたいな甘い匂いは何なの?」
 そう、姿は見えないのに香りだけは花が主張してくる。まるて部屋の中に大きな花束があるような、しかし私の視界には小さな花瓶だとか植木鉢だとかしか映らない。しかも数個の。
「あ、多分それ芳香剤」  
「近代的」
 あれ、幻想郷ってそんなハイカラだっけ。
 そんなことを言いながら数歩歩いて、幽香はタンスの上のなにやら直方体の塊を手に取った。それが芳香剤らしい。薄い紫色の液体が見える。
「さて、花で丁度いいのはここの――」
「ふうん、食器とかも揃ってるのね。意外だわ」
「聞いてる?」
 台所に勝手に立ち入って、ガラス張りの棚の中の食器を確認してみる。横から幽香の声が聞こえたが、あまり気にしないことにする。
「……あまり他人の家を物色するものじゃあないわ」
「貴女だって私の家をカスタマイズしてるじゃない」
 幽香専用のティーカップがあるのはわりと納得いかない。
 私の、来客用の、幽香の。なんだお前は。嫁か。
 歯ブラシはないからセーフって言い分はおかしい。
「ちゃんと掃除もされてる……貴女、ちゃんと生活できてるのね」
「喧嘩売ってる?」
「まさか。貴女に敵うわけないでしょ」
 そりゃあそうだ。彼女の「特殊能力」と言うべき能力はもちろん植物を操ることにあるのだが、それは彼女の本質ではない。いわばオマケだ。彼女は植物を使って戦うよりもその腕でぶん殴る方が格段に強いという、はっきり言ってしまうとすごく投げやりな妖怪なのである。
 ほぼ鬼だ。
 インドア派の鬼。
 そういう表現をすると手がつけられない感じが如実に表れるな。実際手がつけられないし。
「貴女がまともかつ健康に生活しているだなんて考えられなかったもの」
「私の身体が不調だったことがあって?」
「そりゃあ見た事がないけれど……って」
「あっ」
 台所を物色する私、それを引き剥がそうとする幽香、無視して奥へ進む私、溜息を吐く幽香、灰皿を見つけた私、声を漏らした幽香
「……幽香、貴女、煙草なんてやるの?」
「……あ、いや、それは鈍器よ」
「鈍器」
 いや、今回のは多分本気じゃあない。目が泳いでいる。幽香ってあんまり嘘を吐くのが得意じゃないなあ、と思う。冗談や皮肉は結構な頻度で飛ばしてきても、本当に自分の都合の悪いことを覆い隠すような嘘を吐くことに慣れていない。多分そういう時は相手を殴り倒して記憶を飛ばすことにより対処していたからだと、私は推測する。
 本人に言ったらそれはそれで殴られそうなので、真偽を確かめてはいないけれども。
「鈍器なら他のでもいいでしょ、なんならサボテンで殴っても相手はかなりのダメージよ」
「……確かに」
 折れるの早いなあ……
「ってことは」
「うん……まあ、でも、たまによ? アリスいるときとか会う日とかは吸わないし……」
 認めた。かなり俯きながら。しかしそれにしても、なんで隠していたんだろうか。確かに私は煙草を嗜まないけれども、私が嫌煙家であるとは限らないだろうに。
「別に隠すことなかったんじゃないの? 私、別に嫌煙家ってわけでもないし」
「あーうん、それはあんまり心配してなかったんだけどね」
 幽香はとてもバツが悪そうに口角を少しだけ上げていた。しかし、それを心配していなかったというのであれば、いったい何を心配していたというのであろうか。
咎められそうだな、って思って」
「あー、それは、ある。無理にやめろとは言わないけれど」
 煙草の体への悪影響を挙げていけばキリがない。肺は黒ずむし息は濁るし身体は朽ちる。どうしてそんな毒を自分の肺に入れて喜べるのだろうか。だがまあしかし、自分がやらないものを無条件に否定するのは少しばかり私の哲学に反するというか、そんな柄でもないというか、自分の説得力と押しの強さに関しては全くもって自信がないというか。
 あんまり嗜んでほしくはないけれども、それを叱るような立場でもない。
 そういうのは閻魔の領分である。
 私もどっちかっていうと怒られる側だし。友達を作れって。うっせえお前もいねえだろって言いそうになったけれど、私は淑女だった。
「まあ、わかってるんでしょ、体に悪いって」
「そりゃあ。でも妖怪だし、少々体に悪くても大丈夫でしょ」
「毒は鬼にも等しく毒よ」
 ぐ、と幽香が一歩退いた。うーん大妖怪がこんな感じなのは私としては楽だしやりやすいけれども、いいのかそれで。普通にタイマンなんかやったら価値の目は絶対にないはずなのだが、相性がいいというか、じゃんけんに勝っているようというか、どうも幽香は私に対して力を発揮しにくいらしい。
「……で、その煙草はどこ?」
「捨てる気?」
「別にやめろって言ってるわけじゃないって言ってるでしょ」
 台所のいろいろな棚を開けたり閉めたりしながら幽香に問う。ライターは一つ目の引き出しから早々に見つかった。幽香の苦い顔は無視して、台所を物色する。
 少し、いいことを思いついた。
「……そこの、一番右の、上の段」
「オウケイ……ふーん。なるほど」
 煙草のパッケージ。恐らく最初は外来品だったのだろう。河童のロゴが入った木箱が見つかった。既に何やら薬臭い棒状の煙草を一本咥えて、これまた河童が作っているらしいライターで火をつけようと……した、その時、幽香が私の手を押さえてそれを制した。何をしているのだ。予告なく手を握るんじゃない。私の計画を邪魔するでない。
「何、考えてるの?」
「見ればわかるでしょう、煙草吸おうとしてんのよ」
 あたまおかしくなったんじゃねえの、と言わんばかりの幽香であるが、その気持ちもわかる。たった数分前に自分が咎めようとしていたことをそのまま行おうというのだから、はっきり言ってあたまおかしい。自分の言ったこととやっていることの整合性が全くない。それに関しては意外と多くの者が知らず知らずのうちにやらかすことでもあるのだけれど、ここまであからさまになってくると最早ボケ老人である。
「……わからないわね」
「文句がないなら手を放してくれるかしら」
 さて、初めての煙草だ……緊張するが、何事も挑戦だと思う。火をつける。このライターの感覚すらも相当に久々である、魔法使いは魔法に頼りがちなのだ。料理も専ら魔法によって済ませてしまう私には、その小さな火にちょっとした恐怖すら覚えてしまうのであった。
 じゅっと先端が赤く光って、私は目出度く喫煙者となった。 
「……うぇ、ごほっ」
「何してんのよ」
 まずい。なんだこれ。それでも我慢して、喫煙者がよくやるように、右手の人差し指と中指で煙草を挟んで息を吐いた。煙が口から出てくるのが面白かった。そんなことも面白く感じるくらいには、私の頭は働いていなかった。
「……めっちゃまずい」
「そらそうでしょうよ」
「なんでこんなんやってんのよ」
 悪態をつきながら、それでも私は煙を吸い込んだ。咽るのをなんとか押しとどめて、明らかな毒を体内に溶け込ませる。血液に煙を染み込ませる。やっとこさ少し落ち着いてきて幽香のことを思い出し、幽香の方を見遣った。
 焦っているように見えた、落ち着かないといった風に体を小刻みに動かして、いろいろと考えているような素振りを見せている。
「どうしたのよ、自分も吸いたくなった?」
「いや、そういうわけではなくて……」
 そこで暫く言い淀んで。
「健康が心配で……」
「どの口がそれを言うか」
 自分がさっきまで少々体に悪くても大丈夫だとか言っていたのに、私がそれをやったら心配とか。
 なんだ、私は弱いといわれているのか。そりゃあ幽香よりは絶対に弱いだろうけれど、どうも気に食わないな、それは。
 人間であることを捨ててまで魔女になって、寿命と強さを手に入れて、それでも幽香には脆弱な子供のようにしか映らないのか。
「どうってことないわよ、私だって妖怪みたいなものなんだから」
「……そうなのかしらね」
「貴女が思っているほど、私は弱くな……ごほっ」
「本当にそうなのかしら」
 やっぱり咽る。苦しさはかなりのものだし、やってみてもこれに依存してしまう気持ちは理解できそうにない。痺れと眩暈がするだけではないか。しかしこうすることでなんとか正常に生きている人間なんかがいることを考えれば、もしかすると痺れと眩暈で自分の頭を鈍くしないと疲れてしまって動けないというような感覚なのかもしれない、なんてことを、ふと思った。
 幽香は相変わらず、不安そうに私の方を向いている。全く、野暮な妖怪だ。
「ほら、幽香も吸いましょうよ」
 そう言って、私は木箱の中からもう一本棒を取り出して幽香に投げてよこした。それを掴んで、諦めたように笑って、それを咥えた。ライターをよこせ、と左手を差し出してきたのを無視して、私はまだ握っていたライターをそのまま点火して幽香の口元の煙草に近づける。驚いたように目を見開いた幽香だったが、数瞬して、幽香は目を閉じた。
 煙を吐いて、幽香は呟く。
「体調が優れないならやめなさいよ?」
「まだ言うか、もう私だって大人なんだから」
 睨んでやる。
「大人、ね」
「身長だって私の方が高いし」
「それは関係ないでしょ」
 じと、という視線をこちらにしばらくぶつけてから、私の後ろを通り抜けて奥へ進むと、窓を開けた。そりゃあそうか、窓を閉めたままだと部屋中に煙が充満してしまう。窓の外には、美しい紅葉。気付かなかったが、ここからなら四季の移り変わりだとか、自然の美しさだとか、そういったものをしっかりと慈しめる。
 あとダンシングフラワーも見える。
「ま、あの頃のアリスからは、かなり成長したように思うけれど」
 窓を開けたことによって吹き込む風に幽香の髪が揺れて、煙草を咥えたまま外を眺めるその姿が、とても恰好良くて、綺麗に見えた。
 幽香の上には、到底いけないのだろうと思う。
 私は大人になった。魔界にいた頃の自分とは、相当変わった自信があった。恐怖の対象でしかなかった幽香に近づいたような気がしていたのだけれど、どうやらそれはまだ先の話らしい。ぼんやりとした今の自分の感覚も、幽香に近づきたかったという、それだけのものなのだろうか。
 灰皿に灰を落として、煙草をぐしゃりと押し付ける。振り返る幽香に、満足気な表情だけを見せた。頭は痛いし舌も痺れていたけれど、具合が悪くなっているということは、見せたくなかった。それが例え見透かされていて、意味がないとしても。
「さて、本題の植物を貰って帰りましょうか」
「そうね、忘れてたわ。どのサボテンにする?」
「引っ張るなあ」
 少し笑って、台所を出た。それを追いかけるようにして、幽香も煙草を捻じ消して部屋に出る。部屋の数個の植木鉢、どうやら室内でわりと簡単に栽培できるような植物のようだ。
「気に入ったのを選ぶといいわ」
「そうね、幽香の一番好きな花を頂戴」
「ふうん……」
 幽香に任せることにしよう。植物のことなら幽香に任せるに限る。あとは暴力に関することも。それに関しては私が彼女に要請することなどないように思うけれども。
「じゃ、これかしらね」
 幽香が持ってきたのはピンク色の花。これは私でも知っている花だ。コスモス。漢字で書くと秋桜、日本においては秋の花と言えばコスモスであろう。
「秋と言えばこれよね」
「ベタね」
 けれど、やっぱりベタなもの、人気なものというのはそれなりの理由があってその座に君臨しているのであって、その花の美しさを誰もが認めたということであろう。
「綺麗ね」
「綺麗じゃない花なんてないわ」
 感心する私と、哲学を炸裂させる幽香。あのダンシングフラワーも綺麗なのかなあ。センスが少し違うようだが、それも私の人形への執着みたいなものだろう。煙草を好きな者と嫌いな者がいるのと同じである。
「そりゃあそうね……さて、ありがとう、早速家に飾ることにするわ」

植木鉢を受け取って、玄関へ向かう。早く飾りたいというのも当然だが、早く帰って水でも飲みたいというのもまた私の心情の多くを占めていた。
 頭が、まだふらついている。吸い終わって暫く経つというのに、未だに体には異常が出たままだ。こんなもの、まともな頭をしていれば二度とやりたくないに決まっている。けれど、今は煙のせいで頭がうまく働かないのだ。ぼうっとしたまま、振り返って、へらへらと。

「また、吸いに来るわ」

ファイアーエムブレム暁の女神 女性キャラ縛りプレイ ①第一部第三章~第五章

 さあバリバリ進んでいきましょう。

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ここでやっとこ二人目の戦力、イレースが加入します。

こいつは今作唯一の雷魔導士であり、なぜか魔力とおなじくらい力が伸びるという怪力の持ち主でもあります。あとキャラデザのおかげで人気はトップクラス。

戦力としては、だいたいみんな一軍に採用するんじゃないでしょうか。僕も一週目では終章に連れて行きました。

で、このゲーム、レベル上限が20で、そこからはクラスチェンジってのをする必要があるんですね。しかしミカヤはストーリー上のイベントでクラスチェンジするため現段階ではクラスチェンジができず、このあたりで育成を止めないとレベル上限に達し経験値が入らなくなってしまいます。また第九章はミカヤが単身で敵を倒す必要があり、経験値がもったいないので、ここからは基本的に全ての敵をイレースでぶん殴っていきます。

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また、この章ではローラで話しかけることによってブラッドという槍使いが仲間になります。非常に力や守備の伸びがよい安定した力を持つユニットであり、一週目では確実にエースでした。

ちなみに最終的にはネフェニーが全カンストしたのでお株を奪われた形にはなるのですが。(槍闘士りょうほう強いんだよなぁ……)

男性陣を盾にして、イレースで全員ぶん殴り次の章へ。

 

さて、なかなかてごわい第四章です。ここでやっとこ女性としては初の前衛であるメグ:アーマーナイトが仲間になります、やっと安定しますね!

しかし僕は使いません。鋼の意志。こいつ剣SSになるし漆黒の騎士の真似事もできるようになるんですけど、僕の女性キャラ縛りは基本がキャラ萌えなので、メグは使いません。すぐに身ぐるみを剥がし、拠点で体育座りでもしていてもらいます。

ちなみにこいつは自分をツイハークの婚約者だと思い込んでいる精神異常者なんですが、今回はツイハークも拠点で体育座りしてもらうので仲良くなれるかもしれませんね

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美女のみでの終章が見たいんだよな。

というわけで、第四章はなかなか敵が手ごわいラグズ(半獣)なのですが、サザを盾にすればわりとすんなりイレースを育成できます。ちなみに財宝にマスタープルフがありますが、このゲーム、上級職へは普通にアイテムなしでもクラスチェンジ可能なのでこのアイテムわりと無駄なんですよね。マスタークラウンは取りきらないとキツイけど。

 

いちおうつかう。経験値が一体ぶんくらい勿体ないし。

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というわけで、初のクラスチェンジです。正直成長は微妙なんですけど、とりあえず目下問題にはならないくらいだと思われます。最後のほうでなんとかなればセーフセーフ。

 

五章ともなってくると、イレースが上級職で守備も10近くあるので、もう単身で突っ込ませて、後ろからくるやつとか増援の数体だけ止むをえずミカヤで撃つ形になります。ぶっちゃけこのマップは特に言うことなくて、全員イレースと友軍でボコっただけです。

 

第六章で、念願の前衛が加入します。メグなんていなかった、いいね?

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ジルはまだ下級職なので(あたりまえでは?)第六章~第七章あたりで一気に育成し、イレースのレベルに追いつかせます。というのも、上級職にもなると取得経験値が少ないので、このへんはジルに倒させた方が経験値がうまいんですよね。

 で、こいつは竜騎士仲間のハールに比べると圧倒的に火力と耐久力がないので、エナジーの雫をがぶ飲みさせてドーピングします。エナジーの雫ってなんでしょうね。魔剤かな? 天使の衣はジルに使ってもよかったかもなあ……(イレースに着せた)

 

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こんなかんじ。イレースはもうちょい守備があればなあ……

という感じで、第六章はジル無双。長いし、ここで怒涛のレベリングだ! 特に壁とか必要ありません。適宜回復すれば大丈夫です。

では、問題の第八章に向かって、良い成長を祈りましょう。

ファイアーエムブレム暁の女神 女性キャラ縛りプレイ ①第一部序章~第二章

  さ~て、いきましょう!

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二週目だからアニメがOFFにできる! スピーディ!

 

さて第一部序章から始まりますが、

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ここの登場ユニットは

ミカヤ:光魔道士

エディ:剣士

そして途中参加のレオナルド:弓兵。

しかし、女性はこの中でミカヤのみなので、ミカヤだけで戦うことになります。

なんなら第3章でイレースが加入するまで、ミカヤしか使えないんですよね。基本的にはその時最も守備の高いユニットで壁にして、ミカヤで後ろから攻撃。

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なんか鬼のような成長してるのでミカヤには期待できそうですね。

レオナルドが「竜の盾」(守備が2上がる)を持ってくるのですが、この場面で使うに値するのがミカヤしかいないし、第六章でジルが加入するまで粘るのももったいないんでミカヤに使います。

イレースはどうせ守備なんてカンストしますし。

 

そんな感じで、ここの敵ってほぼ近づいても攻撃してこないんで離れたところからミカヤで屠ってクリア。いちおうエディを盾にしてこそいますが。

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エディのチュートリアルを完全に無視して進めていきます。野郎の助言なんて聞くに値しねえわな!

 

「まず、エディが丸腰で敵をせき止める」

「で、後ろからミカヤが魔法で攻撃。これが安全な戦い方だよな?」

 

エディ「解せぬ」

 

そして続く第1章、ここでノイスが加入。即座に武器を剥ぎ取り、壁にします。

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エディが初期で守備4しかないので、守備9は強い。

ぶっちゃけ一週目では、第一部メンバーの中ではエディがエースだったし、実際エディはすっごい成長率がいいんですが、男なので壁です。使うに値しません(過激派)。ノイスはノイスで初期値もなかなかでジェイガンかと思いきやちゃんと成長するので、これも使えるんですが野郎どころかおっさんなので壁にしてボロボロに使い古します。

ついでに言うと、第2章でノイスの出番は終了します。

だって第2章加入のサザの守備が14あるし。第3章で加入するブラッドも守備11あるし。

 

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 なんのひねりもなくノイスを壁にしておびき寄せてミカヤ撃ちます。

ちなみに、ノーマルモードだからか、この辺の敵は攻撃範囲に入っても攻撃してこないとかいうクソザコ一兵卒どもなのでミカヤ単体で殴りこませても平気でした。なにぼーっとしとんねん

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あいかわらずの良成長。ミカヤこんなにうまく育つのって初めてかも

 

さてそのままの勢いで第2章なんですが、ここが厄介というか、最初の鬼門です。

3ターン目くらいにサザが加入するのですが、こいつが最初から上級職でこのへんの敵にはまずダメージを喰らわないので壁に最適となります。しかしこいつが左上のほうの扉から現れるので、今の画面上の敵などはここで凌がなければなりません。

ノイスで防ぐのは依然と同じなのですが、右側にも敵がおり、右側の通路をノイスでふさぐ必要があります。すると上からの敵に対応できないんですね。

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これが厄介で、ここのマップは全員強制出撃なんですがレオナルドとエディは育っていないため2撃で落ちます。しかもここで加入したローラという神官は杖使いで、一撃で落ちる脆さ。

傷薬など気を遣いながら使わないとリセットする羽目になります。

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こんな感じ。

 

――なんか普通にいけちゃいました。

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ついでに速さの伸びも著しく、ここで二回攻撃ができるようになります。強い(確信)。

ここまでミカヤしか使ってないので使ってる武器が摩耗して無くなってしまうのですが、詰むかと思いきや左下の宝箱にセイニー入ってました。ナイスニンテンド。

さて、特に特記事項も無く、普通に進んじゃいました。どうしようかな。次辺りでドラマないかなあ。

ファイアーエムブレム暁の女神 女性縛りプレイ 前座編

 名前氏です。お久しぶりです。記事はちょくちょく書いてたんですが、どれもうまくいかなくてお蔵入りにしてました。

 粗製乱造。人間とおんなじですね。

 

 さて、夏休みも佳境という感じですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 ぼくはバイトの時間以外はもっぱらファイアーエムブレムをしています。

 

 八月はずっとバイトしてた(わりに給料はそんなに)んで、その反動みたいなとこもあるかも。すげーひきこもってる。一応ある程度の予定は入ってるんですけど、そもそも夏休みのあいだは通学定期を購入していないので、あんまり大阪に出るわけにもいかなくて。これが実家通いの弊害です。下宿してえよお。

 

 で、ちょうど先日中学の時の友人・相川くん(仮名)が、使わなくなったという液晶をくれたので自分の部屋に液晶を置いて、リビングに眠っていたwiiを引っ張り出して自分の部屋に設置しました。(ついでにPS2も譲ってくれたので設置しました)

 そのときにリビングのテレビの配線を解く必要があったのですが、テレビとビデオ・録画だけでなんであんなにケーブルがごっちゃごちゃになるんだ。スパゲティコードとはあのことですよ。

 そもそもwiiを電源に繋いでないのにwiiリモコンのセンサーだけ繋ぎっぱなしだったのはどういう了見だったんだ。

 そもそも大掃除の時にも掃除するか怪しいテレビの裏、めちゃめちゃ埃っぽくて肺と遍く粘膜が114514倍に腫れあがりました。名前氏の埃アレルギーの値が病院で計測できる値を振り切っていたことはあまりにも有名。はたらく細胞がはたらきすぎ。しかも余計な仕事を自ら増やして雇い主に迷惑をかけている。

 

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――桃鉄貧乏神じゃねえか。

 

 閑話休題西尾維新で覚えた語彙)、僕は基本的にゲームが苦手なのにもかかわらず、いくつかのゲームはそこそこやっていて、その一つが桃鉄であり、また一つが、今回プレイしていくファイアーエムブレムです。その中でも僕の好きなナンバーが暁の女神wiiが発売された初期、各メーカーがそのリモコンの機能を最大限に生かすゲームをリリースする中、一切センサーを使わずボタンのみのデザインにした挑戦作。

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 このゲーム、基本的にプレイヤーの中では非常に評判の悪い問題作であり、古くからのFEプレイヤーからは邪道要素が多すぎて嫌われ覚醒以降の新世代からは取り残されてしまったという不遇の作品でもあります。

 いろいろツッコミどころあります。ストーリーとかバランスとか結構ハチャメチャです。そもそも、上の画像にも出したように、パッケージなどでは銀髪の巫女ミカヤ緑髪の盗賊サザW主人公って触れ込みなんですが、終盤は特にサザの出番は皆無、エンディングではむしろ前作主人公・今作のエースであるアイクが称えられて終わりという謎仕様。しかもサザは能力も役立たずレベルの弱さ。でもそんなん言ってたらこのゲーム進まないのでそれは別の機会に。

 暁の女神、キャラクターがいっぱいでてきて、可愛いキャラも多いのでたのしいんですよね。if暗夜とかもそういう点では面白いんですけど、小さいときにプレイしてた思い出とかも相俟ってすごいお気に入り。あと絵がすき。

そんな暁を先日やっとこさ一週目クリアした(小さいときは途中でクリアできなくなっちゃった)ので、二週目として縛りプレイでもしようかと。

 ところで僕は中学に上がった頃からゲームでは女性キャラしか使わないというポリシーを採用しており、格ゲーとかでも女性キャラを使い、アバターも女性キャラに統一していました。キモオタなので。画面におっさんよりも女の子を映したいんです。

 そんな中、このゲームだけ男性キャラを使いクリアしたのは納得できない。

 

 じゃあ女性キャラ縛りでクリアしようや!!!!!

 

 ちなみにこのゲームは国同士の戦争を題材にしたSRPGであり、そのストーリーと世界観のおかげでユニットは多くが男性です。とりあえずレギュレーションとして、

①難易度はノーマル

②男性キャラは使わない

は基本として、第一部序章などが詰むため

③武器を持たせずに壁とするのは可

とします。野郎共なんて盾だよ盾。あと第一部でアイテムを全く取れなくなるため、

④「宝箱を開ける」「扉を開ける」などの、敵に危害を加えない行動は可

ともしますが、

⑤「呪歌」「杖」「盗む」などの経験値の入るコマンドは、男性は行ってはいけない

としておきます。なお、これに関しては後に第一部3章でつい「練磨の書」を盗んでしまうのですが、使用せずに捨てておきます。

⑥能力値厳選は行わない

このゲーム、レベルアップ時に「このキャラのこの能力値はこの確率で上がる」というシステムになっているので、どんな風に成長するかは運しだいです。その関係上、マニアックモード(ハードよりも難しい)とかやる場合は能力値がしっかり上がるまでリセットしてやり直すのが基本的なやりかたになるのですが、今回はノーマルモードですし、厳選は行わないこととします。

 主力になるであろうワユとかジルとかイレースの能力がうまく上がらなかったら、まあ、それはその時考えます。詰みそうだけど。

⑦拠点経験値、スキル、ドーピング、錬成武器は特に縛らない

⑧アイクとか王族の野郎どもは頑張って縛ろう……!

⑨それはそれとして「女性縛りプレイ」って字面ヤバくね?

 

 こんな感じです。前座が長くなりました。このゲームのストーリーとおんなじですね。それでは第一部から日記つけていこうとおもいます。第一部がいきなり鬼門なんだよなぁ……

 

ラップ流行ってっけど、結局「韻」ってなんなん? って思ったので分類してみた

こんにちは、名前氏です。

みなさん、ラップって聴きます?

僕は聴きます。(このへんカリスマブロガーARuFaさんのサンプリング)

 

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↑ ここ数年のラップブームの火付け役二大巨頭ォ

 

まぁ今流行ってんのは即興でビートに乗って相手を罵倒する「フリースタイル」って形式で、いわゆるギャングだぜオラオラ! ナードなんかに交わらねぇBADHOP! みたいなラップらしいイメージが強いところですね。いったい誰-pablowなんだ……

 

これはあるあるなんですけど、

僕みたいなオタクにはちょっと「怖さ」が勝ってしまう。

ダンジョンも序盤は見てましたけどね。

3on3があんまりハマらなくて見るのやめちゃった  ???「3on3 馴れ合いだから出なかった」

高校生ラップ選手権も第8回以降は毎回見てますけどね。

烈固すごいよね すき

 

 しかし、オタクもラップの音楽性を楽しむことは可能なはず。ヒップホップの怖さから分離した「ラップ」のスキルだけを追求してきたのがネットラップで、僕はいまこのシーンの虜なわけです。

ニコニコ全盛期には「ill.bell」「タイツォン」「はしやん」などを筆頭に、ニコラップが流行した時期もあったことが、オタクもラップを楽しめる証左でしょう。アリレムとかタイツォンとかまだ動画上げてるんだけど伸びてないんですよね。ショッギョムッジョ。

 

ラップを楽しむときに、サングラスもダボダボのTシャツもガンジャも必要ありません。必要なのは楽しもうという気持ちつまりプロップスだけなのです!

俺はオタクにもラップを楽しんでもらいてぇ!(ここパンチライン

 

というわけで、数あるラップスキルの中からについて分類、紹介していきたいと思います。

 

◇◆◇◆◇

 

①脚韻

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3:34~

「志望校B判定

皆でどうこう言い合って

「全部理想通り」なんて

最初からここにあって

 

最も一般的にイメージされる韻のスタイル。基本中の基本。

小節、フレーズのラストで母音を重ねるものです。シンプルなのでアレンジもしやすいですが、他の部分で楽しませないと単調になる可能性があるのが難点です。

他の部分の完成度や、あるいは例えば長く踏むなどの工夫によって光る韻の踏み方です。

 

②頭韻

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Vulcanさんのverse2より引用(1:14~)

格式張ること無くいきがるこの

サブリミナル効果巧みに出すから

まず気になるあの明日に光るもの

託し担う結果博打に勝つ

ある意味カスなら作詞にラップやら

やるし磨く休み知らずほら

軽い自虐すら吐くシニカルタイプ

隠し嫌う過去白紙になる

 

脚韻とは反対に、小節やフレーズの最初で韻を踏む踏み方です。

仕組みは脚韻と同じなのですが、脚韻をぴったり合わせると「韻」の状態でフレーズが終わり気持ちよさが残るのに対してこちらは韻の余韻フレーズの後半に上書きされてしまうため運用が難しく、あまり使われない踏み方です。

ちなみに引用したこのバースは、後述の「畳み掛け」「踏み抜き」も併用していると言えるでしょう。

      

 ③子音踏み

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妖狐さんのverseより引用(1:04~)

「掴み取るチャンス見逃すな退け

そのチャンスの隠れ蓑が砂時計

 

韻とは基本的に母音を合わせるものなのですが、子音まで合わせて、この場合は「みのがすなどけ」丸っと同じ音にしてしまったという踏み方。基本的に母音だけを合わせるより圧倒的に難しいため、韻のスキルをかなり必要とします。引用した妖狐さんを含め、これを綺麗に決められるラッパーはだいたいリスナーから高く評価されます。

 

③Ⅱ 子音のみ踏み

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これはちょっと引用が難しいですが、全体として。

同じ子音の音を軸にして文章を展開させていくという、かなり特殊な踏み方です。

これを得意とする方は引用元の間開さん、クルー「勇魚。」の相方である冬さんなどがいますが非常に少ないです。

似たような音の言葉を組み立てることによって音としての心地よさを高めることができるといえるでしょう。

 

④全踏み

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 ラップするマンさんのverseから引用(1:34~)

 

スレスレな放送禁止用語もご愛敬

 腕組めば堂々吟じようとこの態度

 

母音だけ抜き出すと両方「ウエウエアオーオーインイオーオオオアイオ」になっていて、フレーズでまるごと韻が踏めています。必然的に韻の長さは十文字を越えてきます。(今回は20文字)

Trapなどの韻が音楽としての音の気持ちよさというアプローチなのに対して、こっちは言葉遊びの側面が強いですね。だいたい一小節をひと固まりにして踏むことが多いです。

 

⑤踏み抜き

 

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FUNKY髭HANKさんのverseから引用(2:20~)

 

朝っぱらから真っ赤っかな輪が、カッカッ。 やだなー。はあ...シャワーがあったならな。 バカ!バカ!マザファカサマー、墓!墓!サマーは墓場! ダラダラやだやだカラカラやだやだ カサカサな肌また河童が皿割っちゃった。 真っ裸だったらまだ…わー!甘かった! 馬鹿だわ。ヤバサがわからなかった。ラーはやっぱやばかった。 あからさまな罠はまっちゃった様は「はかったなシャア!」 あー。若さかー。やっぱ。 生温かさやたら悪化、あらやだわー! 頭がパア、なっちゃった。だから、わたしゃ 「あかさたなはまやらわ」からまた学ばなきゃな。

 

 

初めて聞いたときのぼく「は???」

つまり、1verseぶん、16小節「ア段」の音だけで構成したということです。前述の全踏みとの合わせ技とも言えますね。

このFUNKY髭HANKさんって人はこういう突飛なことをする人なんですけど、そうでなくても、16小節くらいなら最初から最後まで同じ脚韻で通すことはちょくちょくあります。

 

⑥畳み掛け

 

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1:04~

「音と言葉とヴァイブスが織り成す

 三点構造 参戦登場 おませ少女の 慢性症状

 がってん承知よ 待てども 待てども どっかの誰かの

 真似事 発展途上 幹線道路 まで飛ぼう

 断然向上 荒れ模様 罵声上等 感染衝動

 抑えられん回せ回せ」

 

ここでは「アエオオ」の韻を次々と繰り出しています。リズムを作りつつ、しっかりと韻の力も見せつけることができます。

ただこれはある程度使い方に注意が必要なものでもあるような気がします。フロウとリズムの部分でしっかり決めないとリリックとしてふわふわしてしまいます。

 

◇◆◇◆◇

 

……と、ここまでいろいろ紹介してきました。細かい技術がまだまだめっちゃあります。でもまあ基本的にはこんなもんかな。ちなみにぼくはクソ長韻と子音踏みがすきです。

こういうのをいろいろ組み合わせて、韻以外の言葉遊び、音としての強弱や高低、メロディ、詩としての強さなどをいろいろ詰め込んでラップはできています。

韻だけがラップではない。僕は韻踏むラッパーばっか聴いてますけど

ネットラップからいろんな作品を布教する意味も込めていましたがいったいどれくらいの効果があるのやら。そもそも今時のオタクってニコ動のアカウント持ってるものなんですかね。

また追記するかもしれませんが、今日は此処まで。みんなネットラップ聴いてヴァイブスぶち上げてくれよな!

 

 

お前ら!! ”東方Vocal”を聴いてくれ!!!

 どうも。東方厨です。

 この前Twitterのタグで好きな曲を紹介するってのをやったんですけど、足りねえんだよな! 二十曲そこらじゃよお!(強欲なオタク)

 

 で、皆さん、東方Vocalって聴きます? ニコニコ動画全盛期と呼ばれたころはIOSYSをはじめとした電波アレンジなどが流行していましたが、最近ではあまり表舞台に出て来ない印象があります。

 しかし、今でも大量の東方Vocalがリリースされているのです! 電波はかつてほどの勢力を持たず、正統派アレンジもそのぶん目立つようになってきました。そこで、僕の推しサークルをここに列挙しようと思います。つまり布教活動。(オタク特有の早口)

リンク貼っておくので、暇なときに聴いてくださ……暇じゃなくても聴け!

 

①FELT

 僕の一番好きなサークルです。

 ドラムとかベースもあるからバンドミュージックともいえると思うんですけど、テクノっぽい音も多い感じ。特徴としては異常なくらい綺麗で美しい音。あと、原曲ブレイク。基本的に原曲がどこにあるかわからなくなる曲が多いです。

 ボーカルも数人いるのですが、全員異常なくらいうまい。全力でファン。英語ボーカルの曲と日本語ボーカルの曲があるので、一つずつ載せておきます。

 

www.youtube.com

www.youtube.com

【東方】 FELT - Once Upon a Love - YouTube

【東方ボーカル】 New World 【FELT】 - YouTube

[東方vocal] Runway Drive [FELT] - YouTube

 

②発熱巫女~ず

 電波曲作ってそうなサークル名からは想像できないようなガチ中のガチサークル。

 前述のFELTはこの発熱巫女~ずから独立した姉妹サークルであり、メンバーも重複しています。つまりこっちも最高ってこった! こちらはFELTよりテクノ感が薄く、純ポップスって感じ

 こちらも綺麗な音が特徴であるほか、全体的に「お洒落」ですね。

 

www.youtube.com

「東方 Vocal」 Pieces 「発熱巫女~ず」 - YouTube

東方アレンジ 発熱巫女~ず - Silent Story (Vocal.陽花) 古きユアンシェン - YouTube

東方活動写真館 2 ED 東方PV - YouTube

 

③森羅万象

 暫く活動していなかったようですが、最近復活した実力派サークル。

 特徴は物凄いバランスの良さ直球ど真ん中のアニソン風ポップス

 中道を突き詰めて最強、みたいなサークル。

 最近の曲にはアニメPVもあるので、よりとっつきやすくなっています。

 

www.youtube.com

【東方ヴォーカルPV】シアワセエゴイスト【森羅万象公式】 - YouTube

【東方ボーカル】 アクアテラリウム 【森羅万象】 - YouTube

【東方ヴォーカルPV】回転【森羅万象公式】 - YouTube

 

④Liz Triangle

 森羅万象カズトラがボーカル・lily-anを従えて独立したサークルを設立。しばらく森羅万象よりも活動が活発だったが、少し前にlily-anが引退を宣言。たぶんもう活動することは無いと思います。しかし有名サークルの一角であり、こちらも森羅万象と同じように、中道を突っ走って最強、みたいなサークル。

 涙腺を攻撃するナンバーが多い印象です。

 

www.youtube.com

【東方アレンジ】 リトルドリーマー PV【Liz Triangle 公式】 - YouTube

【東方ボーカル】-Liz Triangle「マネキン姫とロクデナシ」 - YouTube

【東方vocal】「ありがとう」 歌詞付き 【LizTriangle】 - YouTube

 

 

⑤TUMENECO

 一言で表すなら「通好み」。先述のFELT森羅万象があまり東方ボーカルに詳しくない人にもある程度知られているのに対して、このサークルは東方ボーカルに詳しい人(日本語訳:オタク)にしか知られていません。しかし、界隈の中では一目置かれる実力を持つサークルです。好きな東方アレンジサークルでここを挙げると、こいつ……できる……! と思わせることができます。

 秘封倶楽部を歌わせたら天下一。「秘封倶楽部」という単語の意味が解る人には是非お勧めしたいサークルです。

 

www.youtube.com

【東方ボーカル】 「ヒミツナグモノ」 【TUMENECO】 - YouTube

【東方ボーカル】 「君とふたりで」 【TUMENECO】 - YouTube

【東方ボーカル】 「さよならミステリー」 【TUMENECO】 - YouTube

 

⑤-2 ちぴねこ

 また、TUMENECOは他の東方アレンジサークルとのコラボを積極的に行っており、GET IN THE RINGとのコラボが有名です。しかし、chipionとのコラボで出した「こいこがれーしょん」ってアルバムが良いよね……いい……

 チップチューンがめっちゃ気持ちいい。そういう感じのアルバム。

 

www.youtube.com

[東方 Vocal] [chipion x TUMENECO] 風の夢 - YouTube

 

 

凋叶棕(ティアオイエツォン)

 サークル名は中国語読みだけど、日本で活動する日本語ボーカルサークル。

 最大の特徴は世界観の再現東方のキャラクターや世界の設定をめっちゃ生かし、独自の解釈・ヘッドカノンと共に、聴いたものの「東方」世界を深める詩とメロディー。マイナーな設定をテーマにした曲も多く、そのためある程度東方を知っているほうが何十倍も楽しめる。東方にある程度詳しくて「東方」という作品が好きな人に是非お勧めしたいサークルです。

 作風はロック風が多いけど割と幅広いです。

 

www.youtube.com

【東方ボーカル】 【凋叶棕】 アイ・ウィッシュ・クロスフェード - YouTube

めらみぽっぷ - スターゲイザー (附中譯歌詞/English Subed/歌詞付き) - YouTube

【東方ボーカル】 「始符 ~ 博麗命名決闘法布告ノ儀」 【凋叶棕】 - YouTube

 

⑦TaNaBaTa

 あにーの個人サークル(たぶん)。非常にクセのあるボーカルを特徴とするロック。歌声は儚くも力強く、ファルセットとブレスがあぁ^~って感じで、好きな人はとことんハマる感じがします。

 

www.youtube.com

Touhou R10| [TaNaBaTa] カズラナデシコ七変化 - YouTube

[東方 Rock] TaNaBaTa - ちるのちるのちるの - YouTube

【東方Vocal・ニコカラ】テンプテーション【TaNaBaTa】 - YouTube

 

舞風

 作風は飛び道具ってわけじゃないんですけど、その立ち位置が飛び道具。東方のアニメ作品と言えば幽閉サテライト・満福神社幻想万華鏡が有名ですが、このサークルは2008年から「夢想夏郷」というアニメ作品を発表しており、オリジナルストーリーの30分アニメ、プロの有名声優を起用といったことから当時はすごい話題になりました。

 ――の、テーマソングが、東方アレンジではなくオリジナル曲。だからここで紹介するのはちょっとズレてるんですけど、まあ、いいかなって。

 東方のアニメ作品は曲とアニメで別のサークルが担当することが多いんですけど、ここは同じサークルがやってるのが特徴です。時音そろそろ過労死するんじゃねえかな。SOUND HOLICのアニメ? 知らない子ですね……

 あ、もちろん普通に東方Vocalも作ってますよ。

 

www.youtube.com

[Sub-Thai&Kanji]向日葵の咲く場所 ~daydream flowes~[Shot ver] - YouTube

東方夢想夏郷3 [Tokine] - OP.3 Blooming Déjà Vu - YouTube

そこに在るもの - YouTube

 

⑨魂音泉

 ニコラップの実力者が大集合。らっぷびととかill.bellとかトップハムハット狂(東方ではAO名義)とかは、東方に詳しくない人でもニコニコ動画に初期から居た人なら知ってるかも。

 東方をテーマにラップ。ytr原作の攻略法をラップにするとかいう荒業をやってのけてもいます。意外にもメンバーはわりと東方にガチ。

 私はここからラップにハマりました。みんなもラップ、聴こう!

 

www.youtube.com

【東方ニコカラ】 モノクロームレインボー feat. ytr【魂音泉】 - YouTube

【東方ニコカラ】童祭 feat. AO【on vocal】 - YouTube

【東方ニコカラ】 STELLA MIC RELAY 【魂音泉】 - YouTube

 

 

www.youtube.com↑ 上述の攻略法ラップ。約13分ある。狂気の沙汰。

 

 

IOSYS

 言うまでもない、東方Vocal界の王者。レジェンド。知名度も最強。電波アレンジによって東方というジャンルをニコニコの御三家に仕立て上げた立役者。こいつらがいなければ「東方」はこんなに流行ってなかった。

 しばらくアニソンや音ゲー曲を作ってたんですけど、一昨年くらいからまた東方電波アレンジに帰ってきた!

 魔理沙は大変なものを盗んでいきました」「チルノのパーフェクトさんすう教室」「患部で止まってすぐ溶ける」とかはよく知られてるので、比較的有名じゃない曲を紹介します。

 

www.youtube.com

【東方Vocal】【Touhou】少女さとりのさとりったー /Satoritter【Japanese Sub】 - YouTube

【東方】 紫雨UNITED まさかのアリス突撃編.mp4 - YouTube

【東方MV】ハクレイデイリー【IOSYS】 - YouTube

 

◇◆◇◆◇

 

……ということで、オタク特有の早口で10サークルほど紹介しました。自分の趣味なので、例えばロック系とかはあんまり聞かないせいで紹介できてませんね。まだまだめっちゃよいサークルがいっぱいあるので、ちょっとでも興味を持ったら聴いてくださ……興味なくても聴け!

「名字帯刀」の話

 こんにちは。

 突然ですが、「刀」ってどう読むか知ってます?(さすがにナメすぎ)

 

 「かたな」「トウ」。終わりっ! 閉廷っ!

 そうです。これだけしかないんです。画数も少ない上に読み方も簡単。小学生の味方。それが刀。

 

 さて。僕が自他ともに認める苗字オタクであることはそれなりに有名ですが、今回は「名字帯刀」の話をします。刀剣女子必見……ではない。イケメンは全く出てきません。すまんな。

 

 ◇◆◇◆◇

 

 僕が高校生の時だったと思いますが、いつものように名簿を手に入れて眺めていると、「刀上」という苗字を見つけました。読み方わかります?(いつものように名簿を手に入れて眺めている、の部分へのツッコミは受け付けません)

 

 答えは「たちがみ」。他の読みもあるようですが、少なくとも僕が見たのは「たちがみ」。さて、ここでふと思ったのですが、「上」が「がみ」の部分を担っていることは疑いようがありません。だとすると、「刀」が「たち」を担ってない? 「たち」なら「太刀」じゃない? 「太」くんは? 刀くん何か知らない? 仲間割れしたん?

 

 つまり、ここにおいて、「刀」が「太刀」を表していると考えていいでしょう。まあ太刀も刀の一種ですけれども、「花」で「さくら」と読む例にはまだ遭遇したことがありませんし、珍しい転訛の例でしょう。

 

 で。

 この前また面白い苗字を見つけました。「帯刀」

 いろんな読み方があるようですが、その中に「おびなた」というのがあります。

 

 ……いや、待てよ。

 「帯」が「おび」を担ってるのは自明。なら、「刀」は「なた」を担ってないか?

 ……「刀」が「太刀」を指すのはわからんでもないけど、「鉈」を指すのはもはやズレてないか? 大丈夫か? 「花」って書いて「ピーマン」って読むようなもんじゃん、ちょっと違う。まずいズレてるってことの喩えがズレて地獄絵図だ

 

 この例から、鉈が刀であることは証明されたも同然。だからどうした。

 

 苗字において、音が変わることや漢字がぬるりと変化することは珍しくありません。流鏑馬はふつうの名詞ではこの漢字ですが、苗字では「鏑流馬」です。書き間違いか勘違いかは知らねえ。

 しかし、この例のような「意味上のつながりを基点にズレている」苗字は初めて見ました。それはそれとして、「刀上」って苗字、滅茶苦茶かっこいいですね。

 

というわけで「名字帯刀(みょうじおびなた)」の話でした。